CalcChem 化学工学計算ツール

解説

液体のkg/h・L/min・m3/hを密度で換算するときの確認ガイド

液体の質量流量kg/hと体積流量L/min・m3/hを、密度を使って読み替える前に確認する項目を整理します。SDS、規格書、運転記録の密度単位、温度、濃度、比重の扱いを確認し、流量換算ツールへ進むための実務ガイドです。

更新日: 2026-05-24

このページで整理すること

液体の流量資料では、kg/h のような質量流量と、L/min や m3/h のような体積流量が別々の資料に出てくることがあります。 この2つは、単位だけを入れ替えて換算できません。液体の密度と、その密度がどの条件の値なのかを確認してから計算する必要があります。

このページでは、SDS、規格書、運転記録、分析条件表などを読むときに、液体の質量流量と体積流量を密度でつなぐ確認順を整理します。 ここで扱うのは、単相液体の概算・整合確認です。ガスの標準状態換算、ポンプ選定、配管設計、圧力損失、安全判断、品質保証の最終判断は対象外です。

まず確認する値

計算に入る前に、資料上の値を次のように分けます。

資料上の表記 まず読む意味 よくある取り違え 先に確認すること
kg/h、kg/min 質量流量 体積流量として扱う 液体密度と密度単位
L/min、m3/h 体積流量 質量流量として扱う 対象液体の密度
kg/L、kg/m3、g/mL 密度 温度や組成を見ずに使う 測定温度、濃度、組成
比重 基準に対する比 密度としてそのまま入力する 基準物質、基準温度、密度への換算根拠
Nm3/h、Sm3/h 気体の基準状態流量であることが多い 液体流量と同じ式で扱う このページでは扱わない

密度や比重の意味を確認したい場合は、密度 / 比重ガイドを先に確認してください。 SDSや規格書から値を拾う場合は、SDS・規格書の読み取りガイドも役立ちます。

使う関係式

液体の密度を既知の入力値として扱える場合、質量流量と体積流量は次の関係でつながります。

  • 質量流量 = 密度 × 体積流量
  • 体積流量 = 質量流量 ÷ 密度

式で書くと、次のようになります。

  • m_dot = rho * Q_v
  • Q_v = m_dot / rho

ここで m_dot は質量流量、rho は密度、Q_v は体積流量です。 この式は、入力した密度が対象液体の温度、組成、濃度に合っていることを前提にした概算確認です。 CalcChemは、液体密度を組成や温度から予測するものではありません。

単位の組み合わせをそろえる

密度の単位と流量の単位は、計算前にそろえてください。

変換したい方向 密度の単位 計算の形 得られる単位
kg/h から L/h kg/L kg/h ÷ kg/L L/h
L/min から kg/h kg/L L/min × kg/L × 60 kg/h
kg/h から m3/h kg/m3 kg/h ÷ kg/m3 m3/h
m3/h から kg/h kg/m3 m3/h × kg/m3 kg/h

基本換算として、1 m3 = 1000 L1 h = 60 min です。 単位が混ざっているときは、先に密度単位を変えるか、流量単位を変えるかを決めてから計算してください。

例1: kg/h を L/min に直す

ある液体の資料に、質量流量 120 kg/h、密度 1.20 kg/L と書かれているとします。 密度が対象条件に合っていることを確認できた場合、まず L/h を求めます。

Q_v [L/h] = 120 [kg/h] / 1.20 [kg/L] = 100 [L/h]

L/min に直すには、1時間を60分で割ります。

100 [L/h] / 60 = 1.67 [L/min]

この例では、約 1.67 L/min です。 ただし、密度が別温度や別濃度の値なら、計算結果もその前提に引きずられます。

例2: L/min を kg/h に直す

別の資料で、液体の体積流量が 20 L/min、密度が 0.85 kg/L と分かっているとします。 この場合は、1分あたりの体積に密度を掛け、さらに60分を掛けます。

m_dot [kg/h] = 20 [L/min] * 0.85 [kg/L] * 60 = 1020 [kg/h]

この例では、約 1020 kg/h です。 小数の丸め方は、元資料の有効桁や用途に合わせてください。概算確認では2〜3桁程度で十分なこともありますが、仕様値や保証値として扱う場合は原典の基準を優先してください。

例3: kg/h と kg/m3 を使う

密度が kg/m3 で書かれている場合は、体積流量も m3 系で扱うと単位が追いやすくなります。

たとえば、質量流量 1200 kg/h、密度 1000 kg/m3 の液体なら、次のように確認できます。

Q_v [m3/h] = 1200 [kg/h] / 1000 [kg/m3] = 1.2 [m3/h]

L/min へさらに直したい場合は、1 m3 = 1000 L1 h = 60 min を使ってから、必要に応じて流量換算ツールで単位をそろえてください。

比重だけが書かれている場合

比重は、密度そのものではなく、基準にした物質の密度に対する比です。 液体では比重の数値と g/mL や kg/L の密度値が近く見えることがありますが、常に同じとは扱えません。

比重しか資料にない場合は、少なくとも次を確認してください。

  1. 何を基準にした比なのか
  2. 基準温度が何度か
  3. 対象液体の温度、濃度、組成に合うか
  4. その比重から単位付き密度へ直してよい根拠が資料にあるか

このページでは、比重を数値だけで密度として入力することは推奨しません。 必要な場合は、資料の定義に基づいて kg/Lkg/m3g/mL などの単位付き密度へ整理してから計算してください。

計算前チェックリスト

液体の質量流量と体積流量を行き来する前に、次の順に確認します。

  1. 対象は液体で、単相として扱える条件か
  2. 元の値は質量流量か、体積流量か
  3. 密度は分かっているか
  4. 密度の単位は kg/Lkg/m3g/mL などのどれか
  5. 密度の温度、濃度、組成、グレードは対象条件と合っているか
  6. 比重の場合、基準条件を確認して単位付き密度に直せるか
  7. 計算結果は概算確認か、仕様・保証・品質判断に使う値か
  8. 体積流量の単位だけをそろえるなら、流量換算ツールで追加換算するか

質量流量と体積流量の考え方があいまいな場合は、質量流量と体積流量の違いを先に確認してください。

このページで扱わないこと

次のような内容は、このページの対象外です。

  • 気体流量の標準状態換算
  • Nm3/h、Sm3/h、Am3/h の換算
  • ポンプ選定、配管サイズ、圧力損失、NPSHの確認
  • 粘度補正、レイノルズ数による設計妥当性確認
  • スラリー、泡、二相流、非ニュートン流体の換算
  • 契約保証、法規制、安全管理、品質保証、出荷可否の判断
  • 組成や温度から液体密度を推算すること

これらが関係する場合は、一次資料、社内基準、適用規格、専門家確認を優先してください。

関連ページの使い分け

流量換算ツールは、m3/h、L/min、mL/min など、体積流量どうしの単位をそろえるときに使います。 kg/h と L/min を直接換算するツールではないため、先に密度を使って質量流量と体積流量の関係を整理してください。

密度 / 比重ガイドは、密度と比重の違いや、温度条件を確認するときに使います。 SDS・規格書の読み取りガイドは、密度や濃度基準を資料から拾う前の確認順を整理しています。

濃度や溶液条件が密度に影響する場合は、濃度換算ツールや関連ガイドも確認し、密度の前提を取り違えないようにしてください。

関連ツール

関連ガイド

よくある質問

kg/hをL/minに換算するには何が必要ですか?

対象液体の密度が必要です。たとえば密度がkg/Lで分かっていれば、kg/hをkg/Lで割ってL/hを求め、さらに60で割るとL/minになります。ただし、密度の温度、濃度、組成が対象条件に合っているかを先に確認してください。

比重をそのままkg/Lとして入力してもよいですか?

比重は密度そのものではなく、基準に対する比です。数値がkg/Lやg/mLに近く見えることはありますが、基準物質、基準温度、資料上の定義を確認し、単位付き密度として扱える根拠を確認してから使ってください。

Nm3/hやSm3/hにもこの考え方を使えますか?

いいえ。このページは液体の質量流量と体積流量を密度で確認するためのものです。Nm3/hやSm3/hは気体の基準状態が関わるため、温度、圧力、基準状態の定義を確認してください。

このページの計算結果を設備設計や品質判定に使えますか?

このページは概算や資料間の整合確認を補助するものです。設備設計、安全管理、品質保証、契約仕様、法規制に関わる判断では、一次資料、社内基準、適用規格、専門家確認を優先してください。