CalcChem 化学工学計算ツール

実務フローのカテゴリ

化学工学計算

流動、移動現象、気体状態、濃度表記など、化学工学の実務で前提確認が必要になる計算カテゴリです。設計判断の前に、単位、物性値、適用範囲、基準状態を確認するためのカテゴリです。

本文更新日: 2026-08-29

今回の更新: 物質選択型の気体密度、純ガスCp°、限定範囲の気体粘度を、任意入力型ツールと分けて選べるようにしました。

作成・確認: CalcChem 運営者

このカテゴリは、目的に合う計算と確認先を選ぶための入口です。計算結果の利用範囲は免責事項も確認してください。

このカテゴリは「流れ・熱・物性」の入口を分けます

化学工学の計算では、式より前に、資料の値が流れの条件、気体の状態、熱量、物性値のどれを示しているかを分けます。 同じ流量、密度、粘度、比熱でも、温度、圧力、相、組成、測定基準が変われば、同じ入力値として扱えません。

このカテゴリは、P&ID、流量計資料、SDS、仕様書、実験条件から得た値を、どの式へ入れてよいか確認するための実務ハブです。 装置設計や安全判断を決めるものではなく、概算と前提確認の範囲を明確にします。

入口1: 流れを見たい場合

まず、資料の流量が質量流量、実体積流量、標準状態換算流量のどれかを確認します。kg/h と L/min は密度があれば結べますが、 Nm3/h と実状態の m3/h は基準温度・基準圧力なしには結べません。

次にReynolds数を確認したい場合は、流量そのものではなく、管断面平均流速、内径、密度、動的粘度をそろえます。 cSt は動粘度なので、動的粘度 Pa s や mPa s の欄にそのまま入れません。流速が0の場合もReは0になりますが、 流れがないため層流・乱流の判定対象ではありません。

表は横にスクロールできます。

資料にある値 次に確認する値 進むページ
kg/h と液体密度 密度の温度・濃度条件 液体の質量流量・体積流量を密度で換算する例
L/min と管内流れ 管の内径、平均流速、動的粘度 Reynolds数計算
Nm3/h、Sm3/h 基準状態、dry/wet、絶対圧 標準状態換算
cSt 同じ条件の密度と粘度の種類 動粘度・動的粘度の換算

二相流、スラリー、非ニュートン流体、脈動流、強い圧縮性、粗さや入口条件が支配的な流れは、ここでのReynolds数の目安だけでは扱いません。

入口2: 気体の状態を見たい場合

ガス密度、標準状態換算、気体流量では、温度をK、圧力を絶対圧として扱う関係が多くあります。 0.5 MPaG のようなゲージ圧は単位を換算しても絶対圧にはなりません。大気圧基準や計器の定義を確認してから使います。

公開済み候補から単一ガスまたは乾燥空気の分子量を選ぶ場合は、 物質を選ぶ気体密度計算を使います。選択肢にない単一ガスで確認済み分子量がある場合は、 理想気体の密度計算へ進みます。混合気体では、質量%や体積%をそのまま混ぜず、 mol%またはモル分率、各成分の分子量、dry/wet基準、圧縮係数の扱いを確認して 混合気体の平均分子量・密度計算へ進みます。

1 MPa以上、高圧、低温、凝縮性成分、湿りガス、反応性ガスでは、Z = 1 の近似をそのまま採用しません。 状態方程式や物性資料の適用範囲を確認できない場合は、計算を停止します。

入口3: 熱量や物性を見たい場合

純酸素、純窒素、水素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウムの入力温度における標準理想気体Cp°を確認する場合は、 物質を選ぶ気体比熱計算を使います。NIST Shomate式の公開区間内だけ係数を選び、 区間外、混合物、高圧実在気体、別相では停止します。

顕熱量の概算では、質量基準かモル基準か、CpかCvか、温度差か温度そのものかを先に分けます。 顕熱量計算は、同じ相の範囲で、選択した熱容量を一定とみなす概算です。 沸騰、凝縮、融解、反応、混合、溶解、結晶化を含む条件では、そのまま熱負荷に読み替えません。

乾燥空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、酸素の動的粘度を確認する場合は、 物質を選ぶ気体粘度計算で、NIST一次資料の20〜50 ℃・0.04〜4 MPa(abs)内だけ補間します。 水素、湿り空気、任意混合物、範囲外では数値を返しません。

液体密度や選択肢にない物質の粘度を別温度へ補正する場合は、物質名から代表値を選びません。基準値、基準温度、係数、相、組成、 出典の適用温度範囲をそろえてから、密度の温度補正または 粘度の温度補正計算を使います。

実務で止まるべきケース

  • 同じ流体か分からない密度と粘度を組み合わせようとしている。
  • 気体の圧力がゲージ圧か絶対圧か分からない。
  • 流量の時間基準、基準状態、dry/wet基準が資料間で違う。
  • 比熱の相、温度範囲、Cp/Cv、質量基準/モル基準が分からない。
  • 純物質の係数を溶液、製品グレード、混合物へ流用しようとしている。

このような場合は、数値を入力して結果を出すより先に、SDS、仕様書、試験成績書、メーカー資料、社内基準の条件を照合してください。

このカテゴリから選ぶページ

表は横にスクロールできます。

目的 最初に開くページ このカテゴリで扱わないこと
管内流れの桁感を確認する Reynolds数計算 圧力損失、摩擦係数、配管設計の確定
公開候補から分子量を選んで気体密度を概算する 物質を選ぶ気体密度計算 任意物質の検索、湿り空気、実在気体、相平衡の精密計算
純ガスの入力温度でCp°を確認する 物質を選ぶ気体比熱計算 混合物、Cv、高圧実在気体、相変化、広い温度区間の積分
公開範囲内で候補気体の動的粘度を補間する 物質を選ぶ気体粘度計算 水素、湿り空気、任意混合物、範囲外外挿、動粘度の直接計算
確認済み分子量から気体密度を概算する 理想気体の密度計算 実在気体、凝縮、相平衡の精密計算
温度差による熱量を概算する 顕熱量計算 潜熱、反応熱、機器の最終熱負荷
粘度の種類をそろえる 動粘度・動的粘度の換算 非ニュートン流体のレオロジー評価
物性値の条件をそろえる 物性値の推算・計算ワークフロー 個別物質・製品条件の確定値を決めること

最終的な設備仕様、安全、法令、品質保証、購買、運転条件の決定には、原典、適用規格、社内基準、専門家による確認を優先してください。

参考資料と確認範囲

このページの式、単位、定義、入力条件、適用範囲を確認するために参照した資料です。各資料が支える範囲は「確認範囲」に示します。個別の物性値、製品仕様、法規、設計条件については原典を確認してください。

  • IUPAC Gold Book: dynamic viscosity

    確認範囲: 流れの確認で用いる動的粘度の定義。非ニュートン流体や個別物質の粘度値を決める根拠ではありません。

    資料確認日: 2026-07-17

  • IUPAC Gold Book: heat capacity

    確認範囲: 顕熱の概算で区別する定圧・定容熱容量の定義。機器の最終熱負荷を決める根拠ではありません。

    資料確認日: 2026-07-17

  • IUPAC Gold Book: ideal gas

    確認範囲: 気体密度や状態量の概算で使う理想気体の前提。実在気体の状態方程式選定は対象外です。

    資料確認日: 2026-07-18

  • BIPM: The International System of Units (SI Brochure)

    確認範囲: 流量、圧力、温度、密度、粘度、熱量を読むときの単位・表記。

    資料確認日: 2026-07-17