計算ツール
密度の温度補正計算
基準密度、基準温度、補正先温度、体膨張係数 beta から、液体密度の温度変化を近似的に補正します。出典値と適用温度範囲を確認するための実務向けチェックツールです。
更新日: 2026-06-21
使う前に確認すること
値を入れる前に、単位、基準、物性値、適用範囲が手元の資料や仕様書と合っているか確認してください。
- 密度は kg/m3、kg/L、g/mL を扱い、内部では kg/m3 に換算します。
- 温度は ℃、K、°F を扱いますが、計算では温度差 T - Tref を使います。K入力と℃入力は内部で同じ温度差として扱います。
前提があいまいなときに確認するガイド
計算フォーム
このツールでできること
基準密度、基準温度、補正先温度、体膨張係数 beta から、液体密度の温度変化を近似的に補正します。
式に使う密度や係数は自動で選ばず、ユーザーがSDS、仕様書、測定データ、メーカー資料などから確認した値を入力します。
このページは、濃度換算、質量流量と体積流量の換算、レイノルズ数計算などに入れる前の「密度の前提確認」に使うことを想定しています。 物性データベース、成分検索、状態方程式、設計値決定のためのページではありません。
入力前チェック
- 基準密度
rho_refが、基準温度Trefに対応する値か確認します。 betaは体膨張係数[1/K]として入力します。線膨張係数をそのまま入れないでください。- 密度と
betaの対象物質、濃度、組成、グレード、温度範囲が一致しているか確認します。 - 出典に適用温度範囲がある場合は、下限温度と上限温度も入力します。
- 比重しかない場合は、基準物質と基準温度を確認し、密度へ読み替えられるかを先に判断します。
計算式
このツールでは、体積膨張を次のように近似します。
V_T = V_ref × (1 + beta × DeltaT)
DeltaT = T - Tref
rho_T = rho_ref / (1 + beta × DeltaT)
DeltaT は温度差です。℃差とK差は同じ大きさとして扱います。たとえば20℃から30℃への補正では、
DeltaT = 10 K として計算します。
式の選び方
密度を別温度へ読み替えるときは、目的精度と出典条件に応じて式を選びます。
表は横にスクロールできます。
| 選択肢 | 使える場面 | 止めるべき場面 |
|---|---|---|
一定の体膨張係数 beta で補正 |
狭い温度範囲、液体、概算、入力前チェック | 広い温度範囲、相変化、保証値・設計値 |
| 実測密度表・補間 | 対象物質、濃度、温度範囲が表で分かっている | 表の出典や濃度、補間範囲が不明 |
| 状態方程式・専用物性モデル | 高圧、気体、臨界点付近、非理想性が重要 | このツールの液体近似だけで最終値にする |
このページで計算するのは1行目の近似です。温度範囲外の外挿、混合物、気体、高圧条件では、出典資料や専用モデルへ戻してください。
実務での使い方
たとえば、資料に「20℃で密度1000 kg/m3」と「体膨張係数 0.00021 1/K」があり、
30℃付近の概算密度を確認したい場合は、基準密度を1000 kg/m3、基準温度を20℃、
補正先温度を30℃として入力します。
結果は、次のような入力値作成の前段に使えます。
表は横にスクロールできます。
| 使う場面 | 先に確認すること | 注意点 |
|---|---|---|
| 濃度換算 | 密度が対象温度・濃度に合うか | 高濃度溶液では単純な温度補正だけでは足りないことがあります。 |
| 質量流量と体積流量の換算 | 密度が流量条件に合うか | 密度の基準温度と実流体温度を混同しないでください。 |
| レイノルズ数計算 | 密度と粘度が同じ温度・組成に対応するか | 密度だけ補正しても、粘度が別条件なら前提がそろいません。 |
このツールで止めるべき条件
次のような場合は、このページの結果だけで先へ進まないでください。
- 気体密度、圧縮性流体、高圧条件を扱う。
- 沸点付近、凝固点付近、二相状態、相変化、臨界点近傍を扱う。
- 混合物、溶液、製品グレードなのに、組成に対応した密度や
betaがない。 - 出典の温度範囲外まで大きく外挿する。
- 線膨張係数、質量膨張係数、経験式の係数など、
betaと意味の違う値しかない。 - 設計、安全、法令、品質保証、購買、運転条件、規格適合の最終判断に使いたい。
よくある誤用
20℃の密度を、30℃や40℃の計算へそのまま使う。- 体膨張係数ではなく、線膨張係数を
betaに入れる。 - 純物質の係数を、濃度の違う溶液や市販製品へそのまま使う。
- 出典の温度範囲を確認せず、遠い温度まで外挿する。
- 密度だけ温度補正し、粘度や濃度基準など他の前提は別温度のまま使う。
出典値の確認メモ
密度と beta は、同じ資料から取れるとは限りません。別資料を組み合わせる場合は、物質名、濃度、
測定方法、温度範囲、圧力、相、改訂日、代表値か保証値かを確認してください。
SDSや仕様書では、密度が「20℃」「25℃」「at 15℃」などの条件付きで書かれることがあります。
その温度が Tref です。beta の出典に温度範囲がある場合、補正先温度が範囲内かを確認してください。
出典別の入力例
表は横にスクロールできます。
| 出典の例 | 入力に使う前の確認 | このツールで止める場面 |
|---|---|---|
| SDSの代表密度 | 製品名、濃度、グレード、測定温度が対象と合うか | 代表値を保証値や設計値として使いたい |
| 仕様書の密度範囲 | 規格範囲のどの値を入力するか、社内基準で決められるか | 範囲の中点を勝手に品質判定値へ使いたい |
| 試験成績書の測定密度 | ロット、測定温度、測定方法、単位が対象と合うか | 別ロットや別製品へそのまま流用したい |
| 測定ログの密度 | 測定時刻、温度、校正状態、相、サンプル条件が残っているか | 温度や相が不明な値しかない |
別資料の beta |
体膨張係数 [1/K] か、対象物質と温度範囲が合うか |
線膨張係数、別濃度、純物質用の係数しかない |
たとえば、SDSに「密度 0.80 g/cm3 (20℃)」、別資料に「体膨張係数 0.0009 1/K、15〜40℃」がある場合は、rho_ref = 0.80 g/cm3、Tref = 20℃、補正先温度を範囲内の温度として入力する形になります。ただし、この例は入力の組み立て方を示すもので、値そのものを推奨するものではありません。
試験成績書にロット固有の密度がある場合は、SDSの代表値より対象に近い入力候補になることがあります。ただし、beta が別資料の純物質値しかない、対象が混合物や高濃度溶液である、補正先温度が出典範囲外である場合は、このツールで数値を出す前に出典確認へ戻ってください。
このページは、出典値が正しいか、対象用途に採用してよいかを保証しません。重要な判断では、一次資料、 社内基準、適用規格、メーカー資料、専門家確認を優先してください。
使用する式
体膨張係数による密度温度補正
rho_T = rho_ref / (1 + beta × (T - T_ref))
- 基準密度 rho_ref は、基準温度 Tref に対応する液体密度として入力します。
- beta は対象温度範囲で一定とみなせる体膨張係数 [1/K] として入力します。
- この式は有限の温度差に対する近似であり、物性データベースや状態方程式ではありません。
- 気体、高圧流体、二相状態、相変化、臨界点近傍、組成が変わる混合物の推算は扱いません。
変数定義
| 記号 | 名称 | 説明 | 標準単位 |
|---|---|---|---|
| rho_ref | 基準密度 | 基準温度 Tref に対応する密度です。SDS、仕様書、測定データなどの出典と条件を確認して入力します。 | kg/m3 |
| rho_T | 補正後密度 | 補正先温度 T における近似密度です。 | kg/m3 |
| Tref | 基準温度 | 基準密度の測定・記載温度です。 | ℃ |
| T | 補正先温度 | 密度を推定したい温度です。 | ℃ |
| DeltaT | 温度差 | T - Tref です。℃差とK差は同じ大きさとして扱います。 | K |
| beta | 体膨張係数 | 体積膨張に基づく係数です。線膨張係数をそのまま入力しないでください。 | 1/K |
単位上の注意
- 密度は kg/m3、kg/L、g/mL を扱い、内部では kg/m3 に換算します。
- 温度は ℃、K、°F を扱いますが、計算では温度差 T - Tref を使います。K入力と℃入力は内部で同じ温度差として扱います。
- beta は 1/K の体膨張係数です。1/℃ 表記の体膨張係数は温度差に対して同じ数値として扱えますが、1/°F や線膨張係数は入力しないでください。
- 比重はこのツールでは扱いません。比重しかない場合は、基準物質と基準温度を確認してから密度へ読み替える必要があります。
- 出典の下限温度・上限温度は任意入力ですが、入力すると基準温度や補正先温度が範囲外かどうかを警告できます。
例題
1000 kg/m3、20℃基準を30℃へ補正する
rho_T = 1000 / (1 + 0.00021 × 10) = 約997.9044 kg/m3です。
1.000 g/mL、20℃基準を30℃へ補正する
g/mL入力でも内部でkg/m3へ換算し、出力単位としてg/mLへ戻します。
出典の適用温度範囲を超える例
計算自体はできますが、補正先温度35℃が出典範囲15〜30℃を超えるため、警告を確認してください。
FAQ
このツールは物質名から密度や beta を自動で選びますか?
選びません。基準密度、基準温度、体膨張係数 beta は、ユーザーがSDS、仕様書、測定データ、メーカー資料などから確認して入力します。
水、エタノール、NaCl水溶液などの値を内蔵していますか?
内蔵していません。このツールは物性値表ではなく、手元の出典値を使って温度補正の前提を確認するための計算ページです。
混合物や製品グレードにも使えますか?
組成と温度範囲に対応した製品固有の基準密度と beta がある場合だけ、近似チェックとして使えます。純物質の値をそのまま流用しないでください。
線膨張係数を beta に入れてよいですか?
入れないでください。このツールの beta は体膨張係数です。線膨張係数から体膨張係数へ読み替えられるかは、物質や前提を別途確認する必要があります。
次に確認する計算
式、変数、単位、例題を確認した後に、実務フロー上で続けて確認しやすい計算です。
動粘度・動的粘度の換算
密度と動粘度または動的粘度から、mu = rho nu、nu = mu / rho の関係で粘度の基準を換算します。cSt、cP、mPa s の取り違えを防ぐため、温度・相・組成・出典条件の確認を重視した実務向けツールです。
顕熱量計算
質量または物質量、熱容量、温度差から、相変化を伴わない顕熱量を計算します。熱容量の基準、温度差の単位、Cp/Cv、潜熱や反応熱を含めない範囲を確認するための実務向けツールです。
濃度換算
mg/L、g/L、mol/L、wt%、ppm(w/w)、vol%などを、基準の違いに注意しながら換算します。
ここでは次に確認しやすい内部リンクだけを表示しています。ほかの計算は 計算ツール一覧 から目的別に探せます。
関連ガイド
計算式だけでは判断しにくい前提、単位、適用範囲を確認するためのガイドです。
物性値の推算・計算ワークフロー
密度、比熱、粘度、気体密度などを計算に使う前に、物質・温度・圧力・相・出典・単位基準を確認し、CalcChemの物性系ツールをどの順番で使うかを整理する実務向けガイドです。物質選択型データベースではなく、出典値を安全に計算へつなぐためのワークフローを示します。
物性値を推算する前に確認すること|密度・比熱・粘度の入力前チェック
密度、比熱、粘度などの物性値を計算や推算に使う前に、物質名、温度、圧力、相、組成、出典、適用範囲を確認するためのガイドです。係数式や物性データベースではなく、SDS、仕様書、メーカー資料、公開データを読む前の入力前チェックとして使います。
物性値推算で使う出典の選び方|式・係数・適用範囲・検証値の確認
密度、比熱、粘度などを推算式で計算する前に、式、係数、入力値、適用範囲、検証値の出典を分けて確認するためのガイドです。物性値表や係数データベースではなく、推算式計算ページで根拠を記録するための考え方を整理します。
ここでは入力前に特に確認しやすいガイドだけを表示しています。ほかの前提確認は ガイド一覧 から探せます。
実務利用上の注意
本サイトの計算結果は、入力条件、単位、前提、適用範囲により変わります。 最終的な設計判断、安全判断、法令判断、購買判断、運転条件の決定には、原典、 社内基準、適用規格、専門家による確認を優先してください。