計算ツール
動粘度・動的粘度の換算
密度と動粘度または動的粘度から、mu = rho nu、nu = mu / rho の関係で粘度の基準を換算します。cSt、cP、mPa s の取り違えを防ぐため、温度・相・組成・出典条件の確認を重視した実務向けツールです。
本文更新日: 2026-07-26
作成・確認: CalcChem 運営者
この計算を選ぶ前の判断
値を入れる前に、単位、基準、物性値、適用範囲が手元の資料や仕様書と合っているか確認してください。
- 密度と粘度は、同じ物質・相・組成・グレード・温度・圧力・出典基準に対応する値を使ってください。
- 非ニュートン流体、スラリー、エマルション、二相系、せん断速度により粘度が変わる試料では、この換算に進まないでください。
最初に確認するガイド
最初に確認する理由: 粘度の種類と温度条件を Re の評価に使ってよいか、流速・管径と併せて確認したいとき。
計算フォーム
このツールは、密度を使って動粘度 nu と動的粘度 mu を換算します。レイノルズ数計算や配管流れの検討では、cSt で書かれた動粘度を、そのまま Pa s 欄へ入れてしまうと大きな誤用になります。
このツールは、水、空気、油、溶液などの粘度値を内蔵していません。SDS、仕様書、メーカー資料、測定データ、社内基準などで確認した密度と粘度を、同じ条件にそろえて入力するための補助ページです。
最初の分岐: cSt/cPの違いと同条件の密度
表は横にスクロールできます。
| 最初に決めること | このページで進める条件 | ここで止める条件 |
|---|---|---|
| 粘度の種類 | cSt・mm2/s は動粘度、cP・mPa s・Pa s は動的粘度として区別できる |
単位表記だけを見て、どちらの粘度か分からない |
| 密度の条件 | 粘度と同じ温度、相、組成、グレード、出典条件の密度を用意できる | 20 ℃の密度と別温度の粘度など、条件の異なる値を組み合わせる |
| 流体の扱い | ニュートン流体に近い単一の粘度として基準換算したい | スラリー、エマルション、ゲル、ポリマーなどで、せん断条件により粘度の意味が変わる |
この3点がそろう場合にだけ mu = rho nu または nu = mu / rho を使います。温度補正、混合物推算、非ニュートン流体の評価は、この基準換算とは別の問題として扱ってください。
粘度基準と密度条件で確認できること
- 動粘度
nuと密度rhoから、動的粘度muを計算する - 動的粘度
muと密度rhoから、動粘度nuを計算する cSt、mm2/s、m2/s、cP、mPa s、Pa sの基準を整理する- レイノルズ数計算へ入れるべき粘度が
muかnuかを確認する - 密度と粘度の温度・相・組成・グレード・出典条件を見直すきっかけにする
入力前チェック
表は横にスクロールできます。
| 確認項目 | 使ってよい状態 | 止めるべき状態 |
|---|---|---|
| 粘度の種類 | 動粘度か動的粘度かが分かっている | cSt、cP、mPa s を同じ粘度として扱っている |
| 密度条件 | 粘度と同じ温度・相・組成・グレードの密度がある | 常温の密度と高温の粘度を混ぜている |
| 出典 | SDS、仕様書、測定値、メーカー資料などが分かっている | 物質名だけで代表値を推測している |
| 流体性状 | ニュートン流体に近い概算でよい | スラリー、エマルション、ゲル、ペースト、ポリマーなど |
| 用途 | 粘度基準の整理、入力前チェック | 圧力損失、ポンプ選定、設備設計、安全判断の最終値 |
計算式
動粘度から動的粘度を求める場合は、次の式を使います。
mu = rho * nu
動的粘度から動粘度を求める場合は、次の式を使います。
nu = mu / rho
ここで、mu は動的粘度、nu は動粘度、rho は密度です。内部計算では、密度を kg/m3、動粘度を m2/s、動的粘度を Pa s にそろえます。
式の選び方
粘度を扱うときは、「単位基準を変えるだけ」なのか、「温度や流体モデルを推算する」のかを分けます。
表は横にスクロールできます。
| 選択肢 | 使える場面 | 止めるべき場面 |
|---|---|---|
mu = rho nu / nu = mu / rho |
同じ条件の密度と粘度があり、動粘度と動的粘度を行き来したい | 密度だけ別温度、粘度の種類が不明 |
| 温度相関・補間式 | 対象物質に対応した式、係数、温度範囲が分かっている | 物質名だけで粘度を推測する、係数の式形が不明 |
| 非ニュートン測定・流動モデル | せん断速度、測定方法、見かけ粘度、流動モデルが必要 | このツールの単一粘度として扱う |
このページで計算するのは1行目の基準換算です。温度補正、混合物推算、非ニュートン流体の評価は行いません。
同じ流体について、基準温度の粘度、補正先温度、経験係数B、適用温度範囲が分かっている場合は、温度を変える概算として 粘度の温度補正計算 を使えます。ただし、係数の式形や出典範囲が不明な値は入れないでください。
式・定数・代表値の根拠
動粘度 nu は動的粘度 mu を密度 rho で割った値です。そのため、cSt と cP は見た目が近くても、密度を介さずに直接置き換えることはできません。
例に出てくる水、空気、油に近い値は、単位と式の関係を示すための代表例です。実際の粘度や密度は、温度、圧力、相、組成、グレード、測定方法、出典で変わります。レイノルズ数や圧力損失へ進む前に、同じ条件の密度と粘度かを確認してください。
使い方の例
1 cSt を 1000 kg/m3 の液体で動的粘度に換算する
nu = 1 cSt は 1e-6 m2/s です。密度が 1000 kg/m3 の場合、mu = 1000 * 1e-6 = 0.001 Pa s = 1 mPa s になります。
水に近い条件ではこのような数値になることがありますが、これは代表例です。実際には、温度、濃度、溶存成分、測定条件を出典で確認してください。
空気に近い動的粘度から動粘度を確認する
rho = 1.2 kg/m3、mu = 0.018 mPa s とすると、nu = 0.000018 / 1.2 = 0.000015 m2/s = 15 mm2/s です。
気体では温度、圧力、湿り状態、組成の影響が出ます。このツールは気体粘度の温度補正や混合ガス推算は行いません。
油のように cSt 表記が多い資料を読む
仕様書や潤滑油資料では、50 cSt のように動粘度で書かれることがあります。密度が 850 kg/m3 なら、mu = 850 * 50e-6 = 0.0425 Pa s = 42.5 mPa s です。
レイノルズ数計算に使う場合は、50 cSt をそのまま入れず、同じ温度条件の密度で mPa s や Pa s へ換算してください。
このツールで判断しないこと
- 物質名からの粘度自動選択
- 温度による粘度補正や二点補間
- Andrade、Arrhenius、Vogel、Walther、ASTM、Sutherland などの粘度相関式
- ガス混合物、液体混合物、溶液、製品グレードの粘度推算
- 非ニュートン流体、スラリー、エマルション、懸濁液、ポリマー、ゲル、ペースト、二相系
- せん断速度依存の見かけ粘度
- 圧力損失、ポンプ選定、設備設計、安全、法令、品質保証、購買仕様、運転条件の最終判断
これらが必要な場合は、測定条件、流体モデル、出典、社内基準、専門家確認に戻してください。
よくある誤用
cSt を Pa s の欄へ入れる
cSt は動粘度であり、Pa s は動的粘度です。単位だけを見て同じ「粘度」として扱うと、レイノルズ数や圧力損失の入力が大きくずれます。
密度だけ別条件の値を使う
密度と粘度は、同じ温度・相・組成・グレード・出典条件に対応している必要があります。20℃の密度と80℃の粘度を混ぜるような使い方は避けてください。
温度欄を入れると補正されると思う
このツールの温度条件欄は、出典条件のメモです。計算式には使いません。粘度を別温度へ補正したい場合は、対象物質に合う温度依存データや補正式を別途確認してください。
非ニュートン流体を通常の粘度として扱う
スラリー、エマルション、ポリマー溶液、ゲル、ペーストなどでは、せん断速度や測定方法で粘度の意味が変わります。単一の cP や cSt として扱えるか、必ず資料で確認してください。
関連して確認したいページ
- レイノルズ数に入れる粘度を確認する場合は、レイノルズ数計算と粘度チェックのガイドを先に確認してください。
- 密度と比重の違いが曖昧な場合は、密度・比重ガイドを確認してください。
- 粘度、密度、温度、圧力の出典条件を整理する場合は、物性値推算前チェックガイドや物性単位ブリッジガイドが役立ちます。
計算仕様・検算例
このツールで使う式、変数、単位、検算用の入力条件です。計算条件を採用してよいかは、本文と一次資料で確認してください。
このページで使う主な式
密度を介した動粘度・動的粘度の換算:
mu = rho * nu または nu = mu / rho
最初に確認する前提: 動粘度 nu と動的粘度 mu は異なる物性であり、密度 rho を介して換算します。
すべての式・変数・単位・検算例を表示する
使用する式
密度を介した動粘度・動的粘度の換算
mu = rho * nu または nu = mu / rho
- 動粘度 nu と動的粘度 mu は異なる物性であり、密度 rho を介して換算します。
- 密度と粘度は、同じ物質、相、組成、グレード、温度、圧力条件、出典基準に対応している必要があります。
- このツールは粘度を別温度へ補正しません。温度依存の推算式や補間式は扱いません。
- 非ニュートン流体、スラリー、エマルション、懸濁液、ポリマー、ゲル、ペースト、二相系、せん断速度依存の見かけ粘度は扱いません。
- 圧力損失、ポンプ選定、設備設計、安全、法令、品質保証、購買仕様、運転条件の最終判断には使わないでください。
変数定義
表は横にスクロールできます。
| 記号 | 名称 | 説明 | 標準単位 |
|---|---|---|---|
| mu | 動的粘度 | せん断応力と速度勾配の関係で表される粘度です。レイノルズ数計算では通常こちらを使います。 | Pa s |
| nu | 動粘度 | 動的粘度を密度で割った粘度です。cSt や mm2/s で表されることが多い値です。 | cSt |
| rho | 密度 | 動粘度と動的粘度を行き来するために必要な、同じ条件の密度です。 | kg/m3 |
単位上の注意
- cSt と mm2/s は同じ数値スケールです。1 cSt = 1 mm2/s = 1e-6 m2/s として扱います。
- cP と mPa s は同じ数値スケールです。1 cP = 1 mPa s = 0.001 Pa s として扱います。
- 密度は内部で kg/m3 に換算します。g/cm3、g/mL、kg/L は 1000 kg/m3 倍として扱います。
- 温度条件は計算式には使いません。密度と粘度の出典条件をそろえるための確認欄です。
例題
例題の数値は、式・単位・計算手順を再現して確認するための条件です。実在物質名を含む例でも、 仕様値、保証値、設計値を示すものではありません。実務では対象条件に対応する一次資料を確認してください。 表示桁は計算結果の再現用であり、入力値や近似式の精度を保証する有効桁ではありません。 例題カードは各例題で定めた桁の検算値を示し、再計算結果は共通の8有効数字で表示するため、末尾ゼロや表示桁が異なる場合があります。 確認欄があるツールでは、例題リンクは値と単位だけを反映します。前提を確認して確認欄を選び、計算してください。
1 cSt、1000 kg/m3 から動的粘度を求める
1 cSt = 1e-6 m2/s なので、mu = 1000 × 1e-6 = 0.001 Pa s = 1 mPa s です。
入力条件
- 密度 rho
- 1000 kg/m3
- 動粘度 nu
- 1 cSt
計算基準
- 換算方向
- 動粘度 nu から動的粘度 mu を求める
- 密度・粘度の条件一致確認
- 密度と粘度が同じ物質・相・組成・グレード・温度・圧力・出典条件に対応することを確認した
検算時の結果
- 動的粘度 mu
- 1 mPa s
0.018 mPa s、1.2 kg/m3 から動粘度を求める
0.018 mPa s = 0.000018 Pa s なので、nu = 0.000018 / 1.2 = 0.000015 m2/s = 15 mm2/s です。
入力条件
- 密度 rho
- 1.2 kg/m3
- 動的粘度 mu
- 0.018 mPa s
計算基準
- 換算方向
- 動的粘度 mu から動粘度 nu を求める
- 密度・粘度の条件一致確認
- 密度と粘度が同じ物質・相・組成・グレード・温度・圧力・出典条件に対応することを確認した
検算時の結果
- 動粘度 nu
- 15 mm2/s
50 cSt、850 kg/m3 から動的粘度を求める
50 cSt = 50e-6 m2/s なので、mu = 850 × 50e-6 = 0.0425 Pa s = 42.5 mPa s です。
入力条件
- 密度 rho
- 850 kg/m3
- 動粘度 nu
- 50 cSt
計算基準
- 換算方向
- 動粘度 nu から動的粘度 mu を求める
- 密度・粘度の条件一致確認
- 密度と粘度が同じ物質・相・組成・グレード・温度・圧力・出典条件に対応することを確認した
検算時の結果
- 動的粘度 mu
- 42.5 mPa s
FAQ
このツールは水や油の粘度を自動で選べますか?
選べません。このツールでは物質選択や内蔵粘度データベースを持たず、ユーザーが出典値を確認して入力する形式です。物質名だけで代表値を推測せず、温度、相、組成、グレード、出典条件を確認してください。
cSt をレイノルズ数計算の粘度欄へそのまま入れてよいですか?
入れないでください。CalcChem のレイノルズ数計算では動的粘度 mu を入力します。cSt は動粘度なので、同じ条件の密度を使って動的粘度へ換算してください。
温度を入力すると粘度を温度補正できますか?
できません。温度条件欄は、密度と粘度の出典条件がそろっているかを確認するためのメモです。温度依存の推算や補間は扱いません。
非ニュートン流体やスラリーにも使えますか?
使えません。せん断速度依存、懸濁、二相、ゲル、ペースト、ポリマー系などでは、見かけ粘度や測定条件を別途確認してください。
ポンプ選定や圧力損失の最終値に使えますか?
使えません。このツールは粘度基準の整理用です。圧力損失、ポンプ選定、設備設計、安全、法令、品質保証、購買仕様、運転条件では、一次資料や専門家確認を優先してください。
参考資料と確認範囲
このページの式、単位、定義、入力条件、適用範囲を確認するために参照した資料です。各資料が支える範囲は「確認範囲」に示します。個別の物性値、製品仕様、法規、設計条件については原典を確認してください。
-
IUPAC Gold Book: dynamic viscosity
確認範囲: 動的粘度 mu の定義
資料確認日: 2026-07-17
-
IUPAC Gold Book: kinematic viscosity
確認範囲: 動粘度 nu が動的粘度を密度で割った量であること。mu = rho nu の関係
資料確認日: 2026-07-17
次に確認する計算
今の入力・結果に必要な条件だけを補います。
物質を選ぶ気体粘度計算
乾燥空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、酸素の動的粘度をNBS Technical Note 1186の式で補間します。物質別の温度・絶対圧の採用範囲外は自動停止しますが、単一気相・純度・組成の適合は利用者が確認します。
次に確認する理由: 公開候補の気体について、NISTの限定範囲内で動的粘度を物質別に補間したいとき。
粘度の温度補正計算
基準温度の粘度と経験係数Bから、逆温度型の経験補正式で別温度の動的粘度を概算します。水・油・溶液などの値を内蔵せず、出典係数、適用温度範囲、相、組成を確認してから使う前提確認付きツールです。
次に確認する理由: 粘度を別温度へ補正する前に、基準温度・係数・適用範囲がそろうか確認したいとき。
レイノルズ数計算
管内流れを想定し、密度、平均流速、管径、動的粘度からレイノルズ数を計算します。
次に確認する理由: 換算した動的粘度を管内流れの Re に使う前に、密度・流速・管径の条件を確認したいとき。
ここでは次に確認しやすい関連計算だけを表示しています。ほかの計算は 計算ツール一覧 から目的別に探せます。
続けて確認するガイド
現在の条件で不足している前提、単位、適用範囲だけを確認します。
物性値を推算する前に確認すること|密度・比熱・粘度の入力前チェック
密度、比熱、粘度などの物性値を計算や推算に使う前に、物質名、温度、圧力、相、組成、出典、適用範囲を確認するためのガイドです。係数式や物性データベースではなく、SDS、仕様書、メーカー資料、公開データを読む前の入力前チェックとして使います。
次に確認する理由: 物質・相・温度範囲・出典が粘度の計算条件としてそろっているか確認したいとき。
物性値推算で使う出典の選び方|式・係数・適用範囲・検証値の確認
密度、比熱、粘度などを推算式で計算する前に、式、係数、入力値、適用範囲、検証値の出典を分けて確認するためのガイドです。物性値表や係数データベースではなく、推算式計算ページで根拠を記録するための考え方を整理します。
次に確認する理由: 密度と粘度の出典、測定温度、適用範囲を分けて確認したいとき。
ここでは入力前に特に確認しやすいガイドだけを表示しています。ほかの前提確認は ガイド一覧 から探せます。