計算ツール
粘度の温度補正計算
基準温度の粘度と経験係数Bから、Andrade/Arrhenius型の関係で別温度の動的粘度を概算します。水・油・溶液などの値を内蔵せず、出典係数、適用温度範囲、相、組成を確認してから使う前提確認付きツールです。
更新日: 2026-06-27
使う前に確認すること
値を入れる前に、単位、基準、物性値、適用範囲が手元の資料や仕様書と合っているか確認してください。
- 温度は内部でKへ換算します。℃と°Fは絶対温度に変換してから式に入れます。
- cP と mPa s は同じ数値スケールです。1 cP = 1 mPa s = 0.001 Pa s として扱います。
前提があいまいなときに確認するガイド
計算フォーム
このツールは、基準温度で確認した動的粘度 mu1 と経験係数 B から、別温度の動的粘度 mu2 を概算します。
水、油、溶液、製品グレードなどの粘度値や係数を内蔵しているわけではありません。SDS、仕様書、メーカー資料、測定データ、専門資料などで確認した値を入力し、温度条件が変わると粘度がどの方向へ動くかを前提確認するためのページです。
このツールでできること
- 基準粘度と基準温度から、別温度の粘度を概算する
mPa s、cP、Pa s、Pの動的粘度単位をそろえる- 温度を内部でKへ変換して、
1/T型の式に入れる - 温度差が大きいときに、外挿リスクを確認する
- 粘度をレイノルズ数、圧力損失、移送検討へ使う前に、出典条件を見直す
入力前チェック
表は横にスクロールできます。
| 確認項目 | 使ってよい状態 | 止めるべき状態 |
|---|---|---|
| 基準粘度 | 対象物質、相、組成、温度が分かっている | 物質名だけで代表粘度を推測している |
| 係数B | 式形、単位、適用温度範囲が出典で分かる | Andrade、Arrhenius、Vogelなどの係数を混ぜている |
| 温度範囲 | 基準温度と補正先温度が出典の範囲内 | 範囲外へ外挿する、または温度差が大きい |
| 相・組成 | 同じ相、同じ濃度、同じグレードで扱える | 相変化、濃度変化、混合、劣化、二相状態を含む |
| 用途 | 概算、前提確認、入力値の見直し | ポンプ選定、圧力損失、設計、安全、品質保証の最終値 |
計算式
このページでは、次のAndrade/Arrhenius型の関係を使います。
mu2 = mu1 * exp[B * (1/T2 - 1/T1)]
ここで、mu1 は基準温度 T1 の粘度、mu2 は補正先温度 T2 の粘度、B はK単位の経験係数です。温度は必ず絶対温度Kに変換してから計算します。
正の B を使う場合、補正先温度が基準温度より高いと 1/T2 - 1/T1 が負になり、粘度は小さくなる方向に計算されます。
式の選び方
粘度の温度依存を扱う式には複数の形があります。このページは、最初の概算として使いやすい 1/T 型だけを扱います。
表は横にスクロールできます。
| 選択肢 | 使える場面 | 止めるべき場面 |
|---|---|---|
mu2 = mu1 exp[B(1/T2 - 1/T1)] |
同じ流体の近い温度範囲で、基準粘度と係数Bが分かる | 係数の出典範囲が不明、温度差が大きい |
| 粘度基準換算 | 同じ温度条件で、動粘度と動的粘度を行き来したい | 温度を変えたい |
| Vogel式、Walther式、ASTM式など | 対象流体に適した係数と範囲が分かる | 係数の単位や式形が不明 |
| 非ニュートン測定・流動モデル | せん断速度や見かけ粘度を扱う | 単一の動的粘度として扱う |
式形が違う係数をこのページへ入れると、計算値は意味を持ちません。係数の単位と式形を必ず確認してください。
式・定数・代表値の根拠
このページでは、粘度の温度依存を指数関数で近似します。液体の粘度は温度上昇で下がることが多く、正の B を使うとその傾向を表現できます。
ただし、係数 B は物質や温度範囲に依存します。例で使う B = 1700 K は、式の使い方と単位の確認を示すための値です。実務では、対象物質、濃度、相、温度範囲、出典の式形に対応した係数を確認してください。
使い方の例
20℃の基準粘度から30℃を概算する
mu1 = 1.002 mPa s、T1 = 20 ℃、T2 = 30 ℃、B = 1700 K とすると、粘度はおおよそ 0.83 mPa s になります。
温度が高くなる方向なので、正の係数Bでは粘度が下がる計算です。これは式の方向を確認する例であり、水や特定製品の保証値ではありません。
30℃の粘度から20℃へ戻す
mu1 = 1.0 cP、T1 = 30 ℃、T2 = 20 ℃、B = 1700 K とすると、補正後粘度は 1 cP より大きくなります。
温度が低い方向へ動くため、粘度が上がる計算です。冷却側では凝固、相変化、濃度変化、析出などの可能性も確認してください。
20℃から80℃へ補正したい
温度差が大きい場合、数値は出ても外挿の可能性が高くなります。出典に 20-80 ℃ の範囲で使える係数と書かれていない場合は、別の相関式、測定値、専門資料を確認してください。
このツールで判断しないこと
- 物質名からの粘度や係数Bの自動選択
- 係数表、物性データベース、保証値の提供
- Vogel、Walther、ASTM、Sutherlandなど別式の係数計算
- 動粘度
cStの温度補正 - 混合物、溶液、製品グレード、劣化油の粘度推算
- 非ニュートン流体、スラリー、エマルション、懸濁液、ゲル、ペースト、ポリマー、二相系
- 圧力依存性、相変化、反応、濃度変化を含む条件
- 圧力損失、ポンプ選定、設備設計、安全、法令、品質保証、購買仕様、運転条件の最終判断
よくある誤用
Bの式形を確認せずに入れる
粘度相関式は、係数の意味が式ごとに違います。別の式用の係数をこのページへ入れても、結果に意味はありません。
温度差が大きいのに外挿として扱わない
基準温度から離れるほど、経験式のずれは大きくなります。温度差が20 Kを超える場合は、出典の適用範囲内かを必ず確認してください。
物質名だけで値を決める
「水」「油」「エタノール」だけでは、温度、圧力、濃度、グレード、測定方法が分かりません。値を探す前に、対象条件をそろえてください。
動粘度cStをそのまま補正する
このページは動的粘度を扱います。動粘度を扱う場合は、密度も温度で変わるため、動粘度・動的粘度の換算や密度温度補正との関係を確認してください。
関連して確認したいページ
- 同じ温度条件で動粘度と動的粘度を換算する場合は、動粘度・動的粘度の換算を使います。
- レイノルズ数へ進む場合は、粘度の種類、密度、代表長さ、流速を同じ条件でそろえてください。
- 出典や適用範囲が曖昧な場合は、物性値の推算・計算ワークフローと出典選びガイドを先に確認してください。
使用する式
Andrade / Arrhenius型の粘度温度補正
mu2 = mu1 * exp(B * (1/T2 - 1/T1))
- T1 と T2 は絶対温度Kとして扱います。
- BはK単位の経験係数として入力します。式形が違う係数を混用しないでください。
- 同じ物質、相、組成、グレード、測定基準に対応する基準粘度と係数を使う前提です。
- 出典の適用温度範囲外への外挿、相変化、濃度変化、圧力依存、非ニュートン性は扱いません。
- 圧力損失、ポンプ選定、設備設計、安全、法令、品質保証、購買仕様、運転条件の最終判断には使わないでください。
変数定義
| 記号 | 名称 | 説明 | 標準単位 |
|---|---|---|---|
| mu1 | 基準粘度 | 出典で確認した基準温度T1における動的粘度です。 | mPa s |
| mu2 | 補正後粘度 | 経験式で概算した補正先温度T2における動的粘度です。 | mPa s |
| T1 | 基準温度 | 基準粘度に対応する絶対温度です。 | K |
| T2 | 補正先温度 | 粘度を概算したい絶対温度です。 | K |
| B | 経験係数 | 対象物質と式形に対応する温度依存係数です。 | K |
単位上の注意
- 温度は内部でKへ換算します。℃と°Fは絶対温度に変換してから式に入れます。
- cP と mPa s は同じ数値スケールです。1 cP = 1 mPa s = 0.001 Pa s として扱います。
- P は 0.1 Pa s として扱います。
- このページは動的粘度の温度補正を扱います。動粘度cStを扱う場合は、同じ条件の密度との関係を別途確認してください。
例題
基準粘度1.002 mPa sを20℃から30℃へ補正する
正の係数Bでは、温度が上がると 1/T2 - 1/T1 が負になり、粘度は小さくなります。係数は例示であり、実際には出典の式形と範囲を確認してください。
30℃の基準粘度を20℃へ戻す
補正先温度が低い場合、同じ正の係数Bでは粘度が大きくなる方向に計算されます。
20℃から80℃への補正は外挿確認が必要
温度差が大きいほど、係数の適用温度範囲と相変化の有無を確認する必要があります。この例では補正後粘度が基準粘度から大きく下がるため、外挿や相変化の確認が特に重要です。
FAQ
水や油を選ぶと自動で係数Bが入りますか?
入りません。このツールは物質データベースではなく、ユーザーが出典で確認した基準粘度と係数Bを入力する形式です。物質名だけで代表値や係数を採用しないでください。
Bの値はどこから取ればよいですか?
SDS、メーカー資料、測定データ、専門資料、社内でレビュー済みの相関式などで、式形と適用温度範囲が分かるものを使います。Andrade式、Arrhenius型、Vogel式、Walther式などでは係数の意味が異なるため混用しないでください。
温度範囲外でも計算できますか?
数値計算はできますが、出典の範囲外は外挿です。20 Kを超える温度差や、0℃以下、相変化に近い条件では、結果を目安としても慎重に扱ってください。
動粘度cStも補正できますか?
このページは動的粘度の温度補正を扱います。動粘度を扱う場合は、同じ温度条件の密度も変わるため、動粘度・動的粘度の換算や密度温度補正との関係を別途確認してください。
ポンプ選定や圧力損失の最終値に使えますか?
使えません。この結果は前提確認と概算用です。圧力損失、ポンプ選定、設備設計、安全、法令、品質保証、購買仕様、運転条件では、一次資料、測定値、社内基準、専門家確認を優先してください。
次に確認する計算
式、変数、単位、例題を確認した後に、実務フロー上で続けて確認しやすい計算です。
動粘度・動的粘度の換算
密度と動粘度または動的粘度から、mu = rho nu、nu = mu / rho の関係で粘度の基準を換算します。cSt、cP、mPa s の取り違えを防ぐため、温度・相・組成・出典条件の確認を重視した実務向けツールです。
レイノルズ数計算
管内流れを想定し、密度、平均流速、管径、動的粘度からレイノルズ数を計算します。
密度の温度補正計算
基準密度、基準温度、補正先温度、体膨張係数 beta から、液体密度の温度変化を近似的に補正します。出典値と適用温度範囲を確認するための実務向けチェックツールです。
ここでは次に確認しやすい内部リンクだけを表示しています。ほかの計算は 計算ツール一覧 から目的別に探せます。
関連ガイド
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密度、比熱、粘度などを推算式で計算する前に、式、係数、入力値、適用範囲、検証値の出典を分けて確認するためのガイドです。物性値表や係数データベースではなく、推算式計算ページで根拠を記録するための考え方を整理します。
ここでは入力前に特に確認しやすいガイドだけを表示しています。ほかの前提確認は ガイド一覧 から探せます。
実務利用上の注意
本サイトの計算結果は、入力条件、単位、前提、適用範囲により変わります。 最終的な設計判断、安全判断、法令判断、購買判断、運転条件の決定には、原典、 社内基準、適用規格、専門家による確認を優先してください。