計算ツール
混合気体の平均分子量・密度計算
混合気体のモル分率またはmol%と各成分の分子量から、平均分子量を求め、絶対圧・温度・圧縮係数Zを使って理想気体近似の密度を計算します。物質データベースではないため、成分名ではなく、SDS、仕様書、分析値などで確認した組成と分子量を入力してください。
更新日: 2026-06-26
使う前に確認すること
値を入れる前に、単位、基準、物性値、適用範囲が手元の資料や仕様書と合っているか確認してください。
- 組成はmol%またはモル分率で入力します。質量%、体積%、wet/dry基準が混ざると平均分子量の意味が変わります。
- 初期値は2成分の例です。乾燥空気のような4成分例を使う場合は、例題を参考に任意成分欄へ明示的に入力してください。
前提があいまいなときに確認するガイド
計算フォーム
このツールは、混合気体の組成と各成分の分子量から平均分子量を求め、その平均分子量を使って気体密度を概算するための計算補助です。
酸素、水素、窒素、空気、燃焼用空気、排ガスのような気体では、物質名だけで密度は決まりません。温度、圧力、dry/wet基準、組成、圧縮係数、凝縮の有無で値が変わります。このページでは、成分名から値を自動選択するのではなく、ユーザーが確認した mol% またはモル分率と分子量を入力して、式と前提を見える形で確認します。
このツールでできること
- 2から5成分のモル分率またはmol%から、混合気体の平均分子量を求める
- 平均分子量、絶対圧、温度、圧縮係数Zから、
rho = P Mmix / (Z R T)で密度を概算する - 乾燥空気に近い組成、2成分ガス、分析表にあるmol%から、概算密度の桁を確認する
- 組成合計が100 mol%または1.0から少し外れているときに、正規化した計算であることを警告する
- 組成合計が大きく外れているときに、残成分抜けや基準混在の可能性として計算を止める
入力前チェック
表は横にスクロールできます。
| 確認項目 | 入力してよい状態 | 止めるべき状態 |
|---|---|---|
| 組成基準 | mol%またはモル分率でそろっている | 質量%、体積%、dry/wet基準が混在している |
| 分子量 | 各成分の化学種に対応した分子量が分かる | 塩、水和物、有効成分基準、成分名が曖昧 |
| 圧力 | 絶対圧として分かる | MPaG、真空計の値、基準不明の圧力 |
| 温度 | 気体の状態温度として分かる | 基準状態温度と実状態温度が混ざっている |
| 実在気体性 | Z=1でよい概算、または出典付きZがある | 高圧、低温、凝縮性、反応性、Zの出典不明 |
組成基準が怪しいときは、先に 混合物・非理想系の注意点 や 気体計算の圧力・温度基準 を確認してください。
計算式
混合気体の平均分子量は、モル分率で重み付けして求めます。
Mmix = sum(y_i * M_i) / sum(y_i)
ここで、y_i は成分iのモル分率、M_i は成分iの分子量です。入力した組成合計が100 mol%や1.0から少し外れている場合、ツールは合計値で正規化して平均分子量を計算します。ただし、残成分の抜けやdry/wet基準の違いを隠すための機能ではありません。合計が大きく外れている場合は、計算を止めて入力条件の確認へ戻します。
密度は、圧縮係数Zを含む次の形で計算します。
rho = P * Mmix / (Z * R * T)
P は絶対圧、T は絶対温度、R = 8.314462618 J/(mol K)、Mmix は kg/mol に換算した平均分子量です。Zを空欄または1にすると、理想気体近似になります。
式の選び方
表は横にスクロールできます。
| 方法 | 使える場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| mol%から平均分子量だけ求める | 分析表の組成を、気体計算用の平均分子量にしたい | dry/wet基準、微量成分、残成分の扱いを確認する |
| Z=1で密度を概算する | 常圧付近、概算、検算、入力値の桁確認 | 高圧、低温、凝縮性ガス、湿りガスでは過信しない |
| 出典付きZを入力して密度を計算する | 温度、圧力、組成に対応したZが別途分かっている | Zの出典範囲を外れる条件へ流用しない |
| EOSや物性ソフトへ戻る | 設計、安全、購買仕様、保証値、高圧・低温・非理想性が重要 | CalcChemの簡易計算だけで最終判断しない |
実務でよくある誤入力
dry基準とwet基準を混ぜる
排ガスや湿り空気では、水蒸気を含むかどうかで平均分子量が変わります。dry基準の酸素濃度とwet基準の水蒸気濃度を同じ組成表として足すと、見た目は100 mol%でも意味が崩れます。
ゲージ圧をそのまま入れる
0.5 MPaG をそのまま 0.5 MPa として入力すると、絶対圧より低い値で計算され、密度も小さく出ます。気体密度では、圧力は絶対圧に直してから入力してください。
成分の分子量基準を取り違える
水素は H2 として扱うのか、酸素は O2 として扱うのか、二酸化炭素は CO2 として扱うのかを確認します。塩、水和物、有効成分基準のような表記が混ざる場合は、分子量基準を別途整理してください。
高圧でもZ=1のまま使う
このツールでは1 MPa以上で警告を出します。これは高圧ガスの法令判定をするためではなく、圧縮係数や状態方程式を確認するきっかけにするためです。設計、安全、法令、品質保証、購買仕様の最終判断には使わないでください。
代表的な検算例
乾燥空気に近い組成
窒素 78.084 mol%、酸素 20.946 mol%、アルゴン 0.934 mol%、二酸化炭素 0.041 mol% のような組成を入れると、平均分子量はおおよそ 28.965 g/mol、101325 Pa・15 ℃・Z=1で密度はおおよそ 1.225 kg/m3 になります。
ただし、空気組成は湿度、CO2濃度、分析条件で変わります。規格値や設計値として使う場合は、出典の組成と基準を確認してください。
窒素50 mol%・二酸化炭素50 mol%
窒素 50 mol%、二酸化炭素 50 mol% の場合、平均分子量は (0.5 * 28.0134 + 0.5 * 44.01) = 36.0117 g/mol です。101325 Pa・25 ℃・Z=1なら、密度はおおよそ 1.472 kg/m3 になります。
この例は計算式の検算用です。実際の排ガスやプロセスガスでは、dry/wet基準、水蒸気、微量成分、圧縮係数Zの扱いを別途確認してください。
このツールで判断しないこと
- 成分名から分子量や物性値を自動選択すること
- 質量%、体積%、ppm、dry/wet基準の自動変換
- 湿りガス、水蒸気分圧、酸素換算、排出規制に関わる補正
- 凝縮、反応、解離、二相状態、臨界点付近の扱い
- EOS、実在気体モデル、混合則、相平衡計算
- 設計、安全、法令、品質保証、購買仕様、運転条件の最終判断
このページは、成分名だけで物性値を返すデータベースではありません。「組成と分子量が分かっているときに、式と前提を確認する」ためのページとして使ってください。
関連して確認したいページ
- 理想気体の密度計算 : 平均分子量がすでに分かっている単一入力の密度計算。
- 理想気体計算 : PV=nRTで圧力、体積、物質量、温度の未知数を確認。
- 気体計算で圧力・温度・基準状態を取り違えないための入力前チェック : 絶対圧、K、wet/dry、標準状態の前提確認。
- 混合物・非理想系の物性推算で単純平均してはいけないケース : 混合物で式に進む前に止まるべき条件の確認。
使用する式
モル分率平均分子量と気体密度
Mmix = sum(y_i * M_i) / sum(y_i), rho = P * Mmix / (Z * R * T)
- 組成はモル分率またはmol%で入力します。質量分率、体積分率、dry/wet基準を混ぜないでください。
- 分子量は各成分の化学種に対応する値を、g/molまたはkg/kmolで入力します。塩、水和物、有効成分基準を混同しないでください。
- 密度計算では、圧力は絶対圧、温度は絶対温度Kへ換算して使います。
- 圧縮係数Zが不明な場合は1として概算します。高圧、低温、凝縮性成分、湿りガス、反応性ガスでは一次資料や状態方程式を確認してください。
変数定義
| 記号 | 名称 | 説明 | 標準単位 |
|---|---|---|---|
| y_i | 成分iのモル分率 | 混合気体中の各成分のモル分率です。mol%入力の場合は内部で0から1の分率に換算します。 | - |
| M_i | 成分iの分子量 | 各成分の分子量です。g/molとkg/kmolは同じ数値スケールとして扱います。 | g/mol |
| Mmix | 混合気体の平均分子量 | モル分率で重み付けした平均分子量です。 | g/mol |
| rho | 混合気体密度 | 理想気体近似または入力したZで求める質量密度です。 | kg/m3 |
| Z | 圧縮係数 | 実在気体性を補正する係数です。不明な場合は1として理想気体近似になります。 | - |
単位上の注意
- 組成はmol%またはモル分率で入力します。質量%、体積%、wet/dry基準が混ざると平均分子量の意味が変わります。
- 初期値は2成分の例です。乾燥空気のような4成分例を使う場合は、例題を参考に任意成分欄へ明示的に入力してください。
- 圧力は絶対圧です。MPaGや真空計の値は、周囲圧を考慮して絶対圧に直してから使ってください。
- 1 MPa以上の条件では、Z=1だけで判断せず、圧縮係数、状態方程式、物性資料を確認してください。
例題
乾燥空気に近い組成から平均分子量と密度を概算する
窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素の例です。湿度や実際の空気組成は固定値ではないため、dry/wet基準を確認してください。
窒素50 mol%・二酸化炭素50 mol%の平均分子量を確認する
2成分のモル分率で平均分子量を求める例です。実際の排ガスやプロセスガスでは、dry/wet基準、微量成分、Zの出典を別途確認してください。
FAQ
酸素や水素を選ぶだけで密度を出せますか?
このページでは出せません。成分名だけでは、温度、圧力、dry/wet基準、組成、Z、相状態が決まらないためです。ユーザーが確認した組成と分子量を入力し、式、条件、限界を見える形で確認してください。
入力したmol%の合計が100でない場合はどうなりますか?
少しだけ外れている場合は、入力された組成合計で正規化して計算し、警告を出します。大きく外れている場合は、残成分の抜けやdry/wet基準の混在が疑われるため、計算を止めます。
湿りガスや排ガスにも使えますか?
dry/wet基準、水蒸気分圧、酸素換算、凝縮、反応、法規制に関わる補正は扱いません。湿りガスや排ガスでは、測定基準と法規・規格上の補正方法を別途確認してください。
高圧ガスの密度として使えますか?
1 MPa以上では警告を出します。Zを入力できる場合でも、そのZの出典、温度・圧力・組成への適用範囲を確認してください。設計、安全、法令、品質保証、購買仕様の最終判断には使えません。
次に確認する計算
式、変数、単位、例題を確認した後に、実務フロー上で続けて確認しやすい計算です。
理想気体の密度計算
絶対圧、温度、分子量から、理想気体近似によるガス密度を計算します。圧縮係数や混合ガス補正は行わないため、入力前に圧力基準と分子量基準を確認してください。
理想気体計算
PV = nRT により、圧力、体積、物質量、温度のうち1つを空欄にして未知量を計算します。
圧力換算
Pa、kPa、MPa、bar、atm、kgf/cm2を相互に換算します。絶対圧、ゲージ圧、真空圧の基準を確認しながら使えます。
ここでは次に確認しやすい内部リンクだけを表示しています。ほかの計算は 計算ツール一覧 から目的別に探せます。
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ここでは入力前に特に確認しやすいガイドだけを表示しています。ほかの前提確認は ガイド一覧 から探せます。
実務利用上の注意
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