計算ツール
理想気体計算
PV = nRT により、同じ状態の気体について圧力、体積、物質量、温度のうち1つを計算します。絶対圧・絶対温度と理想気体近似の前提を確認します。
本文更新日: 2026-08-27
今回の更新: 273.15 Kの再確認目安を維持し、PV=nRT固有の前提取り違えが見出しから分かるよう整理しました。
作成・確認: CalcChem 運営者
この計算を選ぶ前の判断
値を入れる前に、単位、基準、物性値、適用範囲が手元の資料や仕様書と合っているか確認してください。
- PV = nRT では圧力を絶対圧、温度を絶対温度 K として扱います。ゲージ圧や℃のまま式に入れないでください。
- 1 MPa以上、高圧、低温、凝縮性ガス、混合ガスでは、理想気体近似の結果をそのまま採用せず、圧縮係数 Z や物性値を確認してください。
最初に確認するガイド
最初に確認する理由: ゲージ圧や真空圧を PV=nRT に入れる前に、絶対圧への換算条件を確認したいとき。
計算フォーム
理想気体の4変数で確認できること
このツールは、同じ状態の単一気相について、圧力P、体積V、物質量n、温度Tのうち一つだけを未知数として計算します。 式へ数値を入れる前に、残る三つの値が同じ気体の同じ状態を表しているかを確認してください。
最初の判定: 3つの既知量で1つだけ求めるか
P、V、n、Tのうち、求めたい一つだけが未知で、残る三つを同じ状態条件で確認できる場合に進みます。二つ以上が未知なら、このツールで一意に決められません。四つすべてが入力済みなら、式の検算ではなく、どの条件を比較するかを先に整理してください。
表は横にスクロールできます。
| 求めたい量 | 進める条件 | 先に止まる条件 |
|---|---|---|
| 圧力P | 体積、物質量、温度が同じ状態でそろう | 体積の基準状態・実状態が混ざる |
| 体積V | 圧力が絶対圧、温度が絶対温度として扱える | ゲージ圧だけがある、温度条件が不明 |
| 物質量n | 圧力、体積、温度が一つの気相状態を表す | 湿りガス、混合ガス、凝縮性成分の条件が不明 |
| 温度T | 圧力が絶対圧、体積と物質量が同じ状態に対応する | ℃や°Fの値をそのまま熱力学温度として使おうとしている |
最初の停止条件
- 圧力がゲージ圧か絶対圧か分からない。
- 温度値と温度差、または実状態体積と基準状態体積が混在している。
- P、V、n、Tのうち二つ以上が未知、または四つすべてが入力されている。
- 高圧、低温、凝縮しやすい成分、湿りガス、組成が不明な混合ガスで、
Z = 1の理想気体近似を採用してよい根拠がない。
このいずれかに当たる場合は、理想気体式だけで数値を確定しません。圧力基準、基準状態、組成、圧縮係数、相状態の確認へ戻ります。
CalcChemでは、絶対圧が1 MPa以上のときに高圧条件として再確認を促します。これは理想気体近似と物性条件を見直すための目安であり、安全性を示すものではありません。設備、容器、法規、作業条件の安全判断は、対象設備の一次資料と適用規格で別に確認してください。
式と単位の検算手順
既知3変数から体積を求めるときは、数値例に当てはめる前に、圧力が絶対圧、温度が絶対温度であることを確認します。 ページ下部の計算仕様には検算用の数値例があります。ここでは、式へ入れる単位がどうそろうかに焦点を置きます。
V = nRT / P
R を J/(mol K) として使う場合、J = Pa m3 の関係により、P を Pa(abs)、n を mol、T を K にそろえると、体積 V は m3 で得られます。
実際の入力では、同じ気体の同じ状態に対応する絶対圧・絶対温度・物質量を使います。検算例は単位の整合性を確認するためのものであり、特定の設備、物質、標準状態、保証値を示すものではありません。
計器値を使うときの判断例
圧力計が0.2 MPaGを示す場合、0.2 MPaをそのままPへ入力しません。まず計器がどの大気圧基準を使うか、計算で必要な圧力が絶対圧かを確認します。
標準大気圧を加える前提が資料で確認できるとしても、その処理は圧力基準をそろえる手順であり、気体が理想気体として扱える根拠にはなりません。
同様に、Nm3やSm3は単なるm3の別表記ではありません。基準温度・基準圧力、dry/wet基準、対象気体の量がそろうかを確認してから、必要に応じて標準状態換算へ進みます。
PV=nRTで起きる前提の取り違え
- ゲージ圧を絶対圧へ直さず、圧力Pとしてそのまま入力する。
- 25 ℃のような温度値を、Kへ変換せずに熱力学温度Tとして入力する。
- 実状態の体積と、別の基準状態に換算した物質量を、同じ状態量として組み合わせる。
- 混合ガスや湿りガスの組成・水蒸気分圧を確認せず、単一気体の式として扱う。
このツールの役割と境界
CalcChemは、理想気体式の計算手順、単位、検算例をページ下部の計算仕様として公開しています。 この本文は「その式を今回の条件に使ってよいか」を判断するためのものです。
圧縮係数Z、湿りガスの水蒸気分圧、混合ガスの詳細な相互作用、相平衡、実在気体の状態方程式選定、高圧ボンベの安全性は判断しません。設計、安全、法令、品質保証、購買、運転条件の最終判断には、一次資料、適用規格、社内基準、専門家による確認を優先してください。
計算仕様・検算例
このツールで使う式、変数、単位、検算用の入力条件です。計算条件を採用してよいかは、本文と一次資料で確認してください。
このページで使う主な式
理想気体式:
PV = nRT、P = nRT / V、V = nRT / P、n = PV / RT、T = PV / nR
最初に確認する前提: 圧力は絶対圧として扱います。ゲージ圧から絶対圧への変換は行いません。
すべての式・変数・単位・検算例を表示する
使用する式
理想気体式
PV = nRT、P = nRT / V、V = nRT / P、n = PV / RT、T = PV / nR
- 圧力は絶対圧として扱います。ゲージ圧から絶対圧への変換は行いません。
- 温度は絶対温度K、圧力はPa、体積はm3、物質量はmolへ内部換算します。
- 気体定数は R = 8.314462618 J/(mol K) とします。
変数定義
表は横にスクロールできます。
| 記号 | 名称 | 説明 | 標準単位 |
|---|---|---|---|
| P | 圧力 | 気体の絶対圧です。 | Pa |
| V | 体積 | 気体が占める体積です。 | m3 |
| n | 物質量 | 気体の物質量です。 | mol |
| T | 温度 | 気体の絶対温度です。 | K |
| R | 気体定数 | 理想気体式で用いる気体定数です。 | J/(mol K) |
単位上の注意
- P、V、n、T のうち計算したい1項目だけを空欄にしてください。
- 圧力は絶対圧として入力してください。ゲージ圧は大気圧を加えて絶対圧へ直す必要があります。
- ℃と°Fは内部でKに換算します。絶対零度以下の温度は計算できません。
- 高圧、低温、凝縮が起こり得る条件、湿りガス、混合気体では理想気体式から外れることがあります。
- 高圧ボンベ、蒸気、二相状態の判断には、理想気体式だけでなく物性値や実在気体補正の要否を確認してください。
- 標準状態のモル体積を使う場合は、0℃・1 atmなどの定義を固定値として扱ってよいか確認してください。
例題
例題の数値は、式・単位・計算手順を再現して確認するための条件です。実在物質名を含む例でも、 仕様値、保証値、設計値を示すものではありません。実務では対象条件に対応する一次資料を確認してください。 表示桁は計算結果の再現用であり、入力値や近似式の精度を保証する有効桁ではありません。 例題カードは各例題で定めた桁の検算値を示し、再計算結果は共通の8有効数字で表示するため、末尾ゼロや表示桁が異なる場合があります。 確認欄があるツールでは、例題リンクは値と単位だけを反映します。前提を確認して確認欄を選び、計算してください。
標準的な条件から物質量を計算する
n = PV / RT より、約1.000001 molです。
入力条件
- 圧力 P(入力時は絶対圧)
- 101325 Pa
- 体積 V
- 0.022414 m3
- 温度 T
- 273.15 K
計算基準
- P・V・n・Tの同一状態確認
- P・V・n・Tが同じ単一相気体の同じ状態を表すことを確認した
- 理想気体近似の確認
- 入力条件で単一気相として Z = 1 の理想気体近似を使うことを確認した
- 圧力基準の確認
- 入力する圧力は絶対圧(A)であることを確認した
検算時の結果
- 計算後の物質量
- 1.000001 mol
25 ℃で1 molの体積を計算する
25 ℃は298.15 Kとして扱います。V = nRT/P より、約0.024465 m3です。
入力条件
- 圧力 P(入力時は絶対圧)
- 101325 Pa
- 物質量 n
- 1 mol
- 温度 T
- 25 ℃
計算基準
- P・V・n・Tの同一状態確認
- P・V・n・Tが同じ単一相気体の同じ状態を表すことを確認した
- 理想気体近似の確認
- 入力条件で単一気相として Z = 1 の理想気体近似を使うことを確認した
- 圧力基準の確認
- 入力する圧力は絶対圧(A)であることを確認した
検算時の結果
- 計算後の体積
- 0.024465 m3
25 ℃・101.325 kPaで1 Lの物質量を計算する
25 ℃は298.15 K、1 Lは0.001 m3として扱います。n = PV / RT より、約0.040874 molです。
入力条件
- 圧力 P(入力時は絶対圧)
- 101.325 kPa
- 体積 V
- 1 L
- 温度 T
- 25 ℃
計算基準
- P・V・n・Tの同一状態確認
- P・V・n・Tが同じ単一相気体の同じ状態を表すことを確認した
- 理想気体近似の確認
- 入力条件で単一気相として Z = 1 の理想気体近似を使うことを確認した
- 圧力基準の確認
- 入力する圧力は絶対圧(A)であることを確認した
検算時の結果
- 計算後の物質量
- 0.040874 mol
FAQ
P、V、n、Tをすべて入力した場合はどうなりますか?
このツールでは1つの未知量だけを計算します。すべて入力すると計算できないため、計算したい項目を1つだけ空欄にしてください。
ゲージ圧をそのまま入力してよいですか?
そのまま入力しないでください。理想気体式の圧力は絶対圧です。ゲージ圧を使う場合は、大気圧を加えて絶対圧に直してから入力してください。
高圧の気体にも使えますか?
高圧では圧縮係数Zなどの実在気体補正が必要になることがあります。このツールは理想気体近似だけを扱います。
湿りガスや混合ガスにも使えますか?
単純な理想気体近似としては計算できますが、水蒸気分圧、組成、凝縮、圧縮係数Zなどは扱いません。設計や取引用の判断では物性データや基準条件を確認してください。
参考資料と確認範囲
このページの式、単位、定義、入力条件、適用範囲を確認するために参照した資料です。各資料が支える範囲は「確認範囲」に示します。個別の物性値、製品仕様、法規、設計条件については原典を確認してください。
-
IUPAC Gold Book: ideal gas
確認範囲: 理想気体の状態方程式 pV = nRT と、圧力・体積・物質量・熱力学温度の関係。このツールが実在気体補正や相平衡を扱わない前提も明確にする
資料確認日: 2026-07-18
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IUPAC Gold Book: standard conditions for gases
確認範囲: 気体の標準条件として273.15 K・100 kPaが示され、旧来の1 atm基準とは区別が必要であること。22.4 Lは273.15 K・101.325 kPaという検算条件の値であり、任意のNm3・Sm3の定義を決めるものではない
資料確認日: 2026-07-18
-
BIPM: The International System of Units (SI Brochure)
確認範囲: 理想気体式で用いる絶対温度 K、圧力 Pa、体積 m3 の単位・表記
資料確認日: 2026-07-17
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NIST: 2022 CODATA Recommended Values of the Fundamental Constants
確認範囲: モル気体定数 R = 8.314462618... J/(mol K)
資料確認日: 2026-07-17
次に確認する計算
今の入力・結果に必要な条件だけを補います。
混合気体の平均分子量・密度計算
確認済みの組成・分子量・状態条件から、混合気体の平均分子量と密度を概算・検算します。Z = 1 の理想気体近似、または同一温度・絶対圧・組成・dry/wet基準に対応する出典Zを使います。成分名だけで値を採用せず、SDS、仕様書、分析値などで確認した組成と分子量を入力してください。
次に確認する理由: 単一成分ではなく、組成が分かる混合気体の平均分子量・密度を扱いたいとき。
理想気体の密度計算
絶対圧、温度、分子量から、理想気体近似によるガス密度を計算します。圧縮係数や混合ガス補正は行わないため、入力前に圧力基準と分子量基準を確認してください。
次に確認する理由: P、T、分子量がそろった単一気体を、Z = 1 の理想気体近似で密度確認したいとき。
温度換算
℃、K、°Fを相互に換算し、温度そのものと温度差を分けて確認します。熱力学計算で必要な絶対温度Kの扱いも整理できます。
次に確認する理由: 式に入れる温度を K にそろえ、温度差と混同していないか確認したいとき。
ここでは次に確認しやすい関連計算だけを表示しています。ほかの計算は 計算ツール一覧 から目的別に探せます。
続けて確認するガイド
現在の条件で不足している前提、単位、適用範囲だけを確認します。
Nm3・Sm3・Am3の違い
Nm3、Sm3、Am3は気体体積や気体流量で使われますが、記号だけでは基準温度・基準圧力・dry/wetが確定しません。標準状態換算前に確認すべき前提を整理します。
次に確認する理由: Nm3、Sm3、実 m3 の基準温度・圧力を名称だけで判断しないために確認したいとき。
質量流量と体積流量の違い|密度・温度・圧力で変わる理由
kg/hとm3/hは、どちらも流量でも基準が異なります。液体では密度、気体では温度・圧力・基準状態が必要になる理由と、単位換算だけでよい場合と状態換算が必要な場合を整理します。
次に確認する理由: 気体量を質量流量・体積流量へ広げる前に、密度と状態条件の役割を確認したいとき。
ここでは入力前に特に確認しやすいガイドだけを表示しています。ほかの前提確認は ガイド一覧 から探せます。