計算ツール
物質を選ぶ気体粘度計算
乾燥空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、酸素の動的粘度をNBS Technical Note 1186の式で補間します。物質別の温度・絶対圧の採用範囲外は自動停止しますが、単一気相・純度・組成の適合は利用者が確認します。
本文更新日: 2026-09-06
今回の更新: 物質別の採用範囲と利用者による相・組成確認を区別し、結果の単位表示(μPa·s・℃)と同条件の密度への照合手順を明確にしました。
作成・確認: CalcChem 運営者
この計算を選ぶ前の判断
値を入れる前に、単位、基準、物性値、適用範囲が手元の資料や仕様書と合っているか確認してください。
- 温度・絶対圧の採用範囲は物質別です。CO2の4 MPa、窒素の50 ℃などは範囲外となり、外挿しません。
- 乾燥空気を湿り空気や工程空気へ、純ガス式を混合ガスへ置き換えないでください。
- 圧力は絶対圧です。MPaG、kPaG、真空計表示をそのまま入力しません。
- 動粘度が必要な場合は、同じ温度・圧力・組成の密度を確認して別の換算ページへ進みます。
最初に確認するガイド
最初に確認する理由: 粘度、密度、温度、絶対圧、組成条件を次の計算へ対応付けたいとき。
計算フォーム
このページは、乾燥空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、酸素について、NBS Technical Note 1186の実験データ回帰式から動的粘度を計算します。温度だけの一般式ではなく、入力した温度と絶対圧を使い、出典の限定範囲内だけ補間します。
計算できる範囲
対象は資料の乾燥空気、または掲載純ガスの単一気相です。温度・絶対圧の採用範囲は物質ごとに異なり、それぞれ両端を含みます。
- 乾燥空気:
20〜50 ℃、0.0425565〜3.558534 MPa(abs) - 窒素:
20〜49.80 ℃、0.04〜4 MPa(abs) - 二酸化炭素:
20〜49.12 ℃、0.064848〜1.8258765 MPa(abs) - ヘリウム:
20〜50 ℃、0.101325〜3.53117625 MPa(abs) - アルゴン:
20〜50 ℃、0.04〜4 MPa(abs) - 酸素:
20〜50 ℃、0.06424005〜4 MPa(abs)
NBSの各物質の表の温度・圧力の上下限と、従来の公開上限範囲(20〜50 ℃・0.04〜4 MPa)の共通部分を使う、CalcChemの保守的な採用方針です。原典の概略範囲全体をNBSが一律に禁止しているという意味ではありません。表の圧力はatmからMPaへ換算し、境界を丸めて広げていません。表には温度補間点も含まれ、この範囲内の全組合せでの測定や精度を保証しません。範囲外は外挿せず、参考値としても表示しません。
これは数値範囲の検査です。単一気相・純度・組成の適合を自動検知するものではなく、利用者が資料と照合して「物質・相・組成条件の確認」を選びます。
使用する補間式
mu(μPa·s) = a + b t + c t^2 + d p + e p^2
tは℃、pは絶対圧MPaです。係数a〜eは選択気体ごとに異なります。計算後は「式に使用した温度」「式に使用した絶対圧」で単位換算後の条件を確かめ、補足の式番号と係数を記録します。原典との照合には、ページ末尾の「参考資料と確認範囲」からNBS Technical Note 1186を開き、表示されたSI式の番号を探します。
Sutherland式や任意係数補正との違い
このページは一般化したSutherland式や、ユーザー入力のAndrade/Arrhenius型係数を使いません。NBS Technical Note 1186が実験データに合わせた物質別・圧力依存の補間式を、公開範囲内で再現します。
別物質や別温度範囲へ式を広げたい場合は、粘度の温度補正計算に任意の係数を入れる前に、式形、係数単位、対象物質、温度範囲を同じ一次資料で確認してください。
物質選択で決まらないこと
物質名を選んでも、次の条件は自動判定しません。
- 湿度、純度、分析組成
- 凝縮、二相、反応の有無
- ゲージ圧から絶対圧への換算
- 必要精度、測定法、製品保証値との一致
特に乾燥空気の式を湿り空気や工程空気へ流用しないでください。1 MPa以上では再確認の警告が出ますが、1 MPaは補間式の上限でも、相状態を判定した結果でもありません。
代表的な停止例
温度・圧力の範囲外は自動停止します。組成・相の不一致は利用者が確認して進むのを止めます。
表は横にスクロールできます。
| 条件 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 窒素、25 ℃、0.1 MPa(abs) | 計算可能 | 物質、温度、圧力が公開補間範囲内 |
| 酸素、50 ℃、4 MPa(abs) | 端点として計算可能 | 両端を含むが、用途採否は別確認 |
| 乾燥空気、10 ℃ | 停止 | 温度が公開範囲外 |
| CO2、25 ℃、4 MPa(abs) | 停止 | 公開上限範囲内でも、CO2の採用上限1.8258765 MPaを超える |
| 水素、25 ℃、0.1 MPa(abs) | 停止 | 採用した一次資料に水素係数がない |
| 湿り空気、25 ℃、0.1 MPa(abs) | 停止 | 乾燥空気の回帰式と組成基準が一致しない |
密度と組み合わせて動粘度・Reynolds数へ進む
動粘度やReynolds数へ進む場合は、同じ物質、温度、圧力、組成に対応する密度を確認します。粘度だけ25 ℃、密度だけ標準状態の値という組み合わせは使いません。
- 密度が未確認なら物質を選ぶ気体密度計算で同じ温度・絶対圧を入力し、Zの根拠を確認します。粘度を補間できる圧力であっても、密度に
Z = 1を使えるとは限りません。乾燥空気は密度側が米国標準大気1976の分子量、粘度側がNBSの実験データなので、両方の基準が対象に対応するか照合します。 - 動粘度・動的粘度の換算では、動的粘度から動粘度へ換算する経路を選びます。このページの出力単位をPa·sまたはmPa·sへ変更してから、その単位を移動先でも選び、同条件の密度とともに入力してください。移動先にはμPa·sの選択肢がないため、μPa·sの数値だけを移しません。
- Reynolds数計算へ進む場合は、同条件の密度と動的粘度に加えて平均流速と管径を入力します。管内の単相・ニュートン流体が対象で、動粘度の入力欄はありません。この計算だけが目的なら、手順2の換算は不要です。
値と条件を残す様式はワークフローの転記メモにまとめています。リンク先へ条件や確認済みの選択は引き継ぎません。
計算仕様・検算例
このツールで使う式、変数、単位、検算用の入力条件です。計算条件を採用してよいかは、本文と一次資料で確認してください。
このページで使う主な式
NBS Technical Note 1186の気体粘度補間式:
mu(uPa s) = a + b*t + c*t^2 + d*p + e*p^2
最初に確認する前提: μはμPa·s、tは℃、pは絶対圧MPaです。
すべての式・変数・単位・検算例を表示する
使用する式
NBS Technical Note 1186の気体粘度補間式
mu(uPa s) = a + b*t + c*t^2 + d*p + e*p^2
- μはμPa·s、tは℃、pは絶対圧MPaです。
- a〜eは選択した気体に対応するNBS Technical Note 1186のSI式係数です。
- CalcChemの保守的な方針として、各物質の表の温度・圧力の上下限と従来の公開上限範囲(20〜50 ℃・0.04〜4 MPa)の共通部分を採用します。全組合せでの測定・精度を保証する範囲ではありません。
- 端点は計算対象に含め、範囲外は参考値も返しません。
- 湿り空気、任意混合物、凝縮、二相、反応、非ニュートン性は扱いません。
変数定義
表は横にスクロールできます。
| 記号 | 名称 | 説明 | 標準単位 |
|---|---|---|---|
| mu | 動的粘度 | 選択気体、温度、絶対圧から補間する動的粘度です。 | μPa·s |
| t | 温度 | 式へ入れる摂氏温度です。 | ℃ |
| p | 絶対圧 | 式へ入れる絶対圧です。 | MPa |
| a-e | 補間係数 | 選択気体に対応する公開SI式の係数です。 | 式定義による |
単位上の注意
- 1 μPa·s = 1e-6 Pa·sです。
- 1 mPa·s = 1 cPです。
- 式内部では温度を℃、絶対圧をMPaへ換算します。
- MPaGなどのゲージ圧は、絶対圧へ整理してから入力します。
例題
例題の数値は、式・単位・計算手順を再現して確認するための条件です。実在物質名を含む例でも、 仕様値、保証値、設計値を示すものではありません。実務では対象条件に対応する一次資料を確認してください。 表示桁は計算結果の再現用であり、入力値や近似式の精度を保証する有効桁ではありません。 例題カードは各例題で定めた桁の検算値を示し、再計算結果は共通の8有効数字で表示するため、末尾ゼロや表示桁が異なる場合があります。 確認欄があるツールでは、例題リンクは値と単位だけを反映します。前提を確認して確認欄を選び、計算してください。
乾燥空気: 25℃・1 atmで補間式を検算する
NBS式(6)のSI係数と圧力換算を確認します。湿り空気や任意組成空気の保証値ではありません。
入力条件
- 温度
- 25 ℃
- 圧力(絶対圧)
- 1 atm
計算基準
- 計算対象の気体
- 乾燥空気
- 圧力基準の確認
- 入力する圧力は絶対圧であることを確認した
- 物質・相・組成条件の確認
- 選択物質、単一気相、純度・組成基準が対象条件に対応することを確認した
- 補間範囲の確認
- 出典範囲内の補間として使い、範囲外へ外挿しないことを確認した
検算時の結果
- 動的粘度
- 18.46794303 μPa·s
窒素: 20℃・0.04 MPaの下限端点を確認する
出典範囲の下限は含め、直下では停止する境界確認です。
入力条件
- 温度
- 20 ℃
- 圧力(絶対圧)
- 0.04 MPa(abs)
計算基準
- 計算対象の気体
- 窒素 N2
- 圧力基準の確認
- 入力する圧力は絶対圧であることを確認した
- 物質・相・組成条件の確認
- 選択物質、単一気相、純度・組成基準が対象条件に対応することを確認した
- 補間範囲の確認
- 出典範囲内の補間として使い、範囲外へ外挿しないことを確認した
検算時の結果
- 動的粘度
- 17.560828 μPa·s
- 式に使用した温度
- 20 degC
- 式に使用した絶対圧
- 0.04 MPa
酸素: 50℃・4 MPaの上限端点を確認する
出典範囲の上限は含め、直上では停止する境界確認です。4 MPaでの設計採用を推奨する例ではありません。
入力条件
- 温度
- 50 ℃
- 圧力(絶対圧)
- 4 MPa(abs)
計算基準
- 計算対象の気体
- 酸素 O2
- 圧力基準の確認
- 入力する圧力は絶対圧であることを確認した
- 物質・相・組成条件の確認
- 選択物質、単一気相、純度・組成基準が対象条件に対応することを確認した
- 補間範囲の確認
- 出典範囲内の補間として使い、範囲外へ外挿しないことを確認した
検算時の結果
- 動的粘度
- 22.7884295 μPa·s
- 式に使用した温度
- 50 degC
- 式に使用した絶対圧
- 4 MPa
二酸化炭素: 25℃・1 atmで相状態を意識して検算する
式(18)の演算確認です。別温度・高圧での相状態や実在気体性を自動判定しません。
入力条件
- 温度
- 25 ℃
- 圧力(絶対圧)
- 0.101325 MPa(abs)
計算基準
- 計算対象の気体
- 二酸化炭素 CO2
- 圧力基準の確認
- 入力する圧力は絶対圧であることを確認した
- 物質・相・組成条件の確認
- 選択物質、単一気相、純度・組成基準が対象条件に対応することを確認した
- 補間範囲の確認
- 出典範囲内の補間として使い、範囲外へ外挿しないことを確認した
検算時の結果
- 動的粘度
- 14.90856379 μPa·s
FAQ
水素の粘度を選べないのはなぜですか?
採用した一次資料NBS Technical Note 1186に水素の補間係数がないためです。別資料の式を同じ根拠のように混ぜず、係数、単位、温度・圧力範囲を個別に検証できるまで掲載しません。
20℃未満や50℃超の参考値を表示できますか?
表示しません。20〜50 ℃内でも窒素は49.80 ℃、CO2は49.12 ℃が上限です。圧力も物質別の上下限と照合し、採用範囲外の参考値は返しません。
乾燥空気を室内空気や圧縮空気に使えますか?
湿度、組成、工程由来成分が異なる場合は使いません。資料の乾燥空気基準と対象が一致することを確認してください。
動粘度も同時に出せますか?
動粘度は出力しません。同じ物質・温度・絶対圧・組成の密度を用意して、粘度基準換算へ進みます。密度計算に使うZや乾燥空気の資料基準も照合し、粘度の補間範囲内だからZ = 1でよいとは判断しません。
回帰の残差が小さいので設計値にできますか?
できません。回帰の相対残差標準偏差は、用途ごとの総合不確かさ、試料差、設備条件、法令・安全・品質要求を保証しません。
参考資料と確認範囲
このページの式、単位、定義、入力条件、適用範囲を確認するために参照した資料です。各資料が支える範囲は「確認範囲」に示します。個別の物性値、製品仕様、法規、設計条件については原典を確認してください。
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NIST publication record: Interpolation formulas for viscosity of six gases
確認範囲: NBS Technical Note 1186の書誌、対象6気体、著者、発行情報
資料確認日: 2026-08-29
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NBS Technical Note 1186
確認範囲: 6気体のSI補間式、Tables 1〜6の物質別温度・圧力範囲、回帰残差
資料確認日: 2026-08-29
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DOI: NBS.TN.1186
確認範囲: 一次資料の永続識別子
資料確認日: 2026-08-29
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IUPAC Gold Book: dynamic viscosity
確認範囲: 動的粘度の定義と量の区別
資料確認日: 2026-08-29
次に確認する計算
今の入力・結果に必要な条件だけを補います。
粘度の温度補正計算
基準温度の粘度と経験係数Bから、逆温度型の経験補正式で別温度の動的粘度を概算します。水・油・溶液などの値を内蔵せず、出典係数、適用温度範囲、相、組成を確認してから使う前提確認付きツールです。
次に確認する理由: NBS式の対象外物質で、別の出典から基準粘度、係数B、式形、温度範囲を確認済みのとき。
動粘度・動的粘度の換算
密度と動粘度または動的粘度から、mu = rho nu、nu = mu / rho の関係で粘度の基準を換算します。cSt、cP、mPa s の取り違えを防ぐため、温度・相・組成・出典条件の確認を重視した実務向けツールです。
次に確認する理由: 同じ条件の密度を確認し、動的粘度と動粘度を換算したいとき。
物質を選ぶ気体密度計算
酸素、窒素、水素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム、乾燥空気から対象を選び、レビュー済み分子量と入力した温度・絶対圧・圧縮係数Zを使って気体密度を概算します。分子量の出典と実際に使用したZを結果に表示し、単一気相、組成、理想気体近似の条件が不明な場合は計算を止めます。
次に確認する理由: 動粘度換算に必要な密度を同じ温度・絶対圧で求めたいとき。Zの根拠と、乾燥空気なら両資料の基準の対応も確認します。
ここでは次に確認しやすい関連計算だけを表示しています。ほかの計算は 計算ツール一覧 から目的別に探せます。
続けて確認するガイド
現在の条件で不足している前提、単位、適用範囲だけを確認します。
物性値推算で使う出典の選び方|式・係数・適用範囲・検証値の確認
密度、比熱、粘度などを推算式で計算する前に、式、係数、入力値、適用範囲、検証値の出典を分けて確認するためのガイドです。物性値表や係数データベースではなく、推算式計算ページで根拠を記録するための考え方を整理します。
次に確認する理由: 別物質・別温度範囲の粘度相関をどの資料から採用するか判断したいとき。
混合物・非理想系の物性推算で単純平均してはいけないケース
密度、比熱、粘度などの物性値を混合物・溶液・製品グレード・二相状態・非ニュートン流体に使う前に、組成、相、温度、圧力、出典、適用範囲を確認するためのガイドです。混合則や係数表を使う前に、計算してよい状態かを整理します。
次に確認する理由: 湿り空気、混合ガス、凝縮、二相条件のため純ガス補間式を使えない可能性があるとき。
ここでは入力前に特に確認しやすいガイドだけを表示しています。ほかの前提確認は ガイド一覧 から探せます。